レンガとモルタルでできた博物館と同じように 3D-XplorMath-Jのオブジェクトは関連したもの同士を集めたギャラリーに配置されています。 見たいギャラリーを選ぶには"ギャラリー"メニューから名前を選択して下さい。 すると、それが現在のギャラリーになります。 "ギャラリー"メニューの右隣が現在のギャラリーの名前です。 ギャラリーに含まれる各オブジェクトはそのサブメニューにから開くことができます。 (プログラム開始時は"曲面(パラメータ表示)"のギャラリーが選択されています。)
メニューからオブジェクトを一つ選択すると、 まずそのオブジェクトの初期設定でのグラフィックスが表示されます。 多くの場合、グラフィックスの作成過程をアニメーションで見ることができます。 これはこのプログラムの基本的な特徴でもあります。 最初はオブジェクトを表示するのに必要な様々なパラメータと オプションに対して初期設定の値を割り当ててグラフィックスを表示します。 これらの値はメニューからいろいろ選択をすることによって、 あるいはダイアログから値を入力することによって、 あるいはコントロールパネルでボタンをクリックすることによって 変更することができます。 すると、これらユーザーによる指定に応じた新しいグラフィックスが表示されます。 このようにオブジェクトを変更する上で重要な方法について 次でもう少し詳しく説明します。
3D-XplorMath-Jはインタラクティブなプログラムとしてデザインされており、 主な操作はマウスを使って行うことができます。 グラフィックスを描画中にマウスをクリックすると描画作業が中断されてしまうことに まず注意して下さい。
2次元のオブジェクトでは、マウスでドラッグすることによって 画面中で図形を移動させることができます。 マウスの右ボタンをクリックしてドラッグ(Mac OSの場合はコマンドキーを押しながらドラッグ) すると、指定した長方形の部分を拡大表示させることができます。 また、シフトキーを押しながらドラッグ、あるいはマウスの中ボタンをクリックしてドラッグすると、 図形を拡大・縮小することができます。
3次元のオブジェクトでは、マウスをドラッグすることによってオブジェクトを3次元空間内で回転させることができます。 さらに、ドラッグ中にクリックを離すとオブジェクトは回転し続けます。 画面中でオブジェクトを移動させるためには、マウスの右ボタンをクリックしてドラッグ (Mac OSの場合はコマンドキーを押しながらドラッグ)して下さい。 また2次元の場合と同じように、シフトキーを押しながらドラッグ、 あるいはマウスの中ボタンをクリックしてドラッグすると、オブジェクトを拡大・縮小することができます。
これらのマウスの使用に関する一般的なルールにはいくつかの例外があります。 そのような場合はウインドウの下のステータスバーに注意書きが表示されます。
"アクション"メニューにはグループごとに共通の項目と 各オブジェクトに対して固有の項目が含まれています。 "アクション"メニューに固有の項目があった場合、 一度動作をチェックしてみることをお勧めします。 "アクション"メニューの一番上の項目は常に"作成"です。 "作成"を選択すると、その時点でのパラメータ等の設定の変更を全て適用して、 オブジェクトを作成します。
"アクション"メニューの代表的な例としては次のようなものがあります。 "平面曲線"のグループには"接触円の表示"という項目があります。 "共形写像"のグループでは円周や直線を描き、 それらが写像でどのように写されるか見ることができます。 "多面体"のグループでは通常の多面体の表示、角を切り取った多面体の表示、 星型多面体の表示を選択することができます。
数学的なオブジェクトは抽象的な概念ですので、 それらを視覚的に表現する仕方にはたくさんの選択肢があります。 背景の色を白か黒かあるいはカラーにするかといった単純なオプションもあります。 3次元の場合は、透視図法か正射影か、また単眼表示かステレオ表示かといった 重要な付加的オプションもあります。 これらの選択肢は"表示"メニューで操作することができます。
ステレオ表示について少し説明します。 ステレオ表示することによってオブジェクトの本当の3次元像を見ることができます。 "アナグリフ式"ステレオ表示は赤/青または赤/緑のステレオ眼鏡を使って 3次元像を見ることができます。 手軽に鮮明な3次元像を見ることができますが、 オブジェクトはカラーでなく黄色の単色になります。 "交差法"によるステレオ表示は右目用の像と左目用の画像を並べて表示し、 寄り目にしてそれらの画像を重ねることにより立体視する方法です。 "平行法"によるステレオ表示も類似してた方法ですが、 こちらは遠目にして2つの画像を重ねることにより立体視する方法です。 これら2つの方法は、画像を重ねて見るのに多少の慣れが必要です。 しかし、フルカラーで鮮明な3次元像を見ることができます。
ほとんどの数学的なオブジェクトの表示は一意的ではなく、 パラメータによって族を考えることができます。 例えば、楕円面には3つの軸の方向の半径として3つのパラメータがあります。 同様に、円環面は2つの半径を指定することによって描かれます。 あるオブジェクトがメニューから選択されたとき、 これらのパラメータは典型的な初期設定の値を選んで表示されます。 これらのパラメータの値は"設定"メニューにある"パラメータの設定"で変更することができます。 もっと面白いのは、一つもしくは複数のパラメータの値が時間の経過とともに変わったときに、 図形が変化していく様子をアニメーションで表現する方法で、 これは"変形 (morphing)"と呼ばれます。 多くのパラメータは"アニメーション開始時の値"と"アニメーション終了時の値"を 指定することによって図形を変形することができます。 "アニメーション"メニューから"アニメーションの作成"が選択されたとき、 パラメータの開始時の値から終了時の値まで滑らかに変形するように 一連のグラフィックスを描画することによってアニメーションを作成します。 いくつかの場合(特に、平面曲線、多面体、常微分方程式の場合)、 個々のグラフィックスを描画しながらリアルタイムでアニメーションを再生することができます。 しかし、多くの場合には滑らかな変形のアニメーションを作成するために 個々のグラフィックスを一度メモリーに保存して、 全てのグラフィックスが描画された後にそれらを順番に表示させることで、 パラパラ漫画の原理でアニメーションを再生します。 (一般には1つのパラメータだけの開始時の値と終了時の値を時間に応じて 変化させてアニメーションを作るのが良い方法です。)
"設定"メニューではオブジェクトの現在の表示を定義している 様々なパラメータやオプションを変更することができます。 このメニューから項目を選択すると、 多くの場合新しい値を入力するためのダイアログが表示されます。 例えば、上で述べたように、"パラメータの設定"を選ぶと 現在のオブジェクトに付随した全てのパラメータを変更することができる ダイアログが表示されます。 "アニメーションの設定"では変形のアニメーションを作成するときの これらのパラメータの開始時の値と終了時の値を設定することができます。 "フレーム数の設定"ではアニメーションのフレーム数を変更することができます。 この値を増やすとより長くなりますが滑らかなアニメーションが得られます。 "描画範囲の設定"ではウインドウに表示される領域の水平方向の値および垂直方向の値の 範囲を指定することによってオブジェクトのサイズと配置を調節することができます。 3次元の場合の"視点設定"では 空間内での仮想カメラの位置を設定することができます。 また、曲面の場合"照明設定"を選択すると 曲面に当てる照明の色や光源からの照明の方向などを設定するダイアログが表示されます。
"ファイル"メニューを使うと現在表示されているグラフィックスのスナップショットを JPEGもしくはPNGファイルとして保存することができます。 また、"ファイル"メニューにある"ファイルに保存"を使うと、 現在のオブジェクトのデータをパラメータやオプションの設定を含めてファイルとして 保存することができます。 後で、"ファイル"メニューの"ファイルを開く"を選択してこのファイルを開くと、 ファイルを保存した時点のオブジェクトが再び表示されます。 (また、このファイルを電子メールの添付ファイルとして友人に送ることによって 作業を共有することができます。) 下で説明するユーザーによって定義された新しいオブジェクトも ファイルとして保存することができます。 この機能は3D-XplorMath-Jに収録されていない新しいオブジェクトを作ったり配布したり する際に非常に役に立ちます。
冒頭で3D-XplorMath-Jは博物館のようなものだと言いました。 しかし、ユーザーによる"新しいオブジェクトの定義"を使うことによって、 3D-XplorMath-Jを数学の研究ツールとして使用することもできます。
多くのギャラリーにはユーザーによる"新しいオブジェクトの定義"という機能があります。 これは一見するとギャラリーのほかのオブジェクトと同じように見えるかもしれません。 しかし、"新しいオブジェクトの定義"を選択すると"パラメータの設定"のような ダイアログが表示されます。 ダイアログにはパラメータの値を変更する通常のボックスに加えて、 ギャラリーのオブジェクトを記述するための数式を入力するボックスがあります。 これまでと同様に、これらのボックスには初めは初期設定の値が入力されています。 ここで"OK"をクリックすると、 これら初期設定のデータによって記述されるオブジェクトを見ることができます。 これら初期設定の数式を変更して好きな数式を入力することによって 自分で新しいオブジェクトを作ることができます。 例えば、平面曲線のギャラリーにおいて"新しい曲線の定義(パラメータ表示)" を選択したとき、初期設定の数式は x(t) = a * cos(t), y(t) = b * sin(2*t) となっています。 (このとき、a の値には3、b の値には1.5が入力されています。) このまま"OK"をクリックすると"8の字曲線"が得られます。 ここで、sin(t) を sin(2*t) で置き換えると 今度は"楕円"が得られます。
一つ注意として、一度新しいオブジェクトを使った後で自分で入力した 数式やパラメータをさらに編集したいときは、 "設定"メニューにある"定義データの変更"という項目を使ってください。 再度、"新しいオブジェクトの定義"を選択するとデータが初期設定の値に戻ってしまいます。